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第1回 ドラマー若山雅弘の場合

更新日:2019年9月24日

Professional

~若山雅弘の場合~

現在プロドラマーとして活躍されている若山さんにお話しを伺ってきました。私がやっている1-GATAもサポートして頂いているプレーヤーです。ドラムに対する想いはもちろん、サポートする現場の雰囲気まで大切にし、バンドサポートだけでなく、指導や、モデルとしても活躍される「ドラムで歌う」若山雅弘のロングインタビューをご紹介します。



ドラムとの出会い



中新井美波(以下中):なんか普段通り話し言葉で話そうかね。若山さんって言うのもあれやし・・・「若」っていつも通り呼ばしてもらうな

若山雅弘(以下若):どうぞどうぞ

中:最近引っ張りだこの忙しい若やと思うけど順番に聞いていこうと思います。えーご趣味は(笑)

若:それが凄い難しいんだけどもはや「趣味」が「練習」になってるんだよね(笑)

中:はははは!まさかの練習!!

若:要は休日とかに新しい音楽聞いて「あ、このリズム面白いな」と思うものは叩いてみて新しい曲を取り入れるのが趣味だな。だって仕事とは関係ない曲だから。後は…知らない土地に行って散歩しまくる!

中:おじいちゃん!!

若:知らない土地で散歩するの本当面白いんだよ。海外とか超面白かったよ、ずっとその土地のおもしろそうな道歩いてたから

中:海外へは英語を勉強せずに行った?

若:そう、勉強せずに行った。向こうに行っちゃえば全部英語だから、現地で覚えた方が確実に早かった。だから書けないけど喋れるし、単語が分かれば伝わる。

中:でも書けなくても喋れる方がコミュニケーションも取れるしいいよな!そうか、趣味、練習と散歩!じゃあ特技は?

若:そうだなあ…運動神経は良い。球技も反射神経系も何でも出来る。野球、サッカー、陸上、バスケ…バレーはやったことないかな。

中:そんな選びたい放題の中でなんで選んだのがドラムやったん?

若:もともとは兄がドラムをやっていて「面白そう」と思って始めたのがキッカケ。それから好きな洋楽の憧れるドラマーと出会って叩いてる音楽を真似したのが始まりかな。その人の容姿も含めて大好きで、全部真似しようと思っていた。全身に入れ墨も入れてるけど全部真似して入れようと思ってたからね!

中:ははははは!やり過ぎや!その方は?

若:「トラビスバーカー」ってカリフォルニア出身の人。バンドが「ブリンク182」っていって叩いている。ビジュアル、センス、聞いたことない音だったり、舞台でヴォーカルより目立っていたように見えたから。すげーかっこいいなって思って。

中:その人の影響も強くあって、球技や他の事をする時間もドラムを叩いてた?

若:実は学生時代学校にちゃんと行かなかったり、悪い友達とつるんでた。当時は親と不仲だったし本当親不幸者だったよ。でも今はドラムを通じて仲良くなったよ。ドラムは当時仲良かった友人のうち一人が音楽やっていて、15歳で「俺もやろう」と思ったのがキッカケ。

中:兄の影響と憧れの人と友人がキッカケでドラムに出会ったんやね。でもドラム以外の楽器には興味なかったん?

若:それが、10歳前後は兄の影響でギターをやってたんだよね。兄が二人いて、次男がドラム、長男がギターやってたんだよ。それを見て見様見真似でやってみたんだよね。Fのコードも押さえれず(笑)

中:乗り越えなあかん壁のFやな(笑)でも、ドラムも始めは手も足もバラバラやったでしょう?それは難しくなかった?

若:初めは全部見様見真似でやってみたり、兄にちょっと教えてもらったり。だから環境も含めて有り難いよね。

中:環境も含めてドラムに打ち込める環境やったんやね。



(4歳の頃)


ドラムの魅力と心がけ



中:ドラムってかっこいいから誰しも音楽好きはやってみたいなって思うと私は感じるねんけど、若にとってのドラムの魅力とは?

若:一番後ろにいるのに存在感があるのね、ギターやベースみたいにどこでも練習できるわけじゃないし、何か言葉では言い表せないけれど、一番後ろの一段上がって特等席で見れるんだよね。

中:私はフロントマン(ヴォーカル)やから、その特等席は分からんなあ。ただ、座れるのちょっとうらやましい時ある(笑)ちなみに一番初めにドラムを練習した曲って何?

若:ボンジョビ、ルナシー(笑)

中:(笑)若っぽくないな

若:でしょ。でも、当時は今みたいに動画とかないから、CDを何度も聞いて、覚えての繰り返し。

中:聞いて覚えて真似をする「耳コピ」ってやつですな。それほど夢中でドラムを叩いてた学生時代があるからこそ、現在プロとして活躍してる今の若が出来てるんやね。ドラムを叩く際に気を付けていることは?

若:どんな状況でも、何が起ころうとも「冷静」でいること。

中:ほう!今までどんな状況があったん?

若:叩いているスティック飛んだ事はもちろん、飛んだ時用にちゃんと手元に何本か用意してるから大丈夫。一番ヤバいなって思ったのが、飾ってある後ろの絵が倒れてきて、俺の腕で止まったことかな。びっくりしてもリズムは崩しちゃいけないから、冷静でいること。この仕事はそうじゃないと成り立たないから

中:私は切り替えが苦手やから仕事で冷静にしてたら、私生活も冷静になってもて「ゴキブリが出ても叫ばんと冷静」とか影響しそうやわ(笑)。冷静も含めてドラムを叩くにあたって気を付けている部分は?

若:あまり譜面を見ないかな。記憶して、ヴォーカリストがどう歌っているか見るね。現場にもよるけど、クリック(テンポ維持のため鳴らされる音)があればそれを聞いて叩けるけど、無い現場だと少しヴォーカルの歌が遅くなったりしたらそれに合わせて叩く。歌をどう活かせて叩くかが重要かな。

中:ギターやベースなど色んな楽器がある中で一番重きを置いて叩くのはやっぱりヴォーカル?

若:断然ヴォーカル。レイドバック(テンポを遅らせて歌うこと)で歌う人が多いからそれにつられず叩くこと、特にバラードとか。超難しいからね。歌に引っ張られる。そうするとテンポが相当遅くなってしまう。

中:気ままに歌っててごめん(笑)



(19歳の頃)


ドラム中心の生活



中:一日だいたいどれくらい練習してるの?

若:日によるけど、一昨日(取材日7/6)は9時間(笑)

中:(笑)えーと、大丈夫?

若:(笑)。家から一時間くらい移動すると、いい施設があって、そこでドラムセット持っていって精神が途切れるまで叩く。食堂もあるからそこでちょっと休憩はするよ。

中:9時間…本当に好きやないと出来へんよな

若:そう、休日はそうやって叩いて、全然覚えなくていい曲とか、使わないリズムだけど、「あ、このリズムいいな」とか趣味の時間に当てる。

中:アスリートやな!それだけ若を夢中にさせるドラム。他のドラマーに対して「これだけは負けへん!」とか「これは譲らん!」ってことある?

若:いっぱいある。例えば「周りの空気を読む」

中:ん?技術面の答えがくると思ってた!目に見えへんもんやな

若:ライブもそうだし、練習中もそう。練習中にバンマス(バンドマスター:リーダー)がどうこちらに求めてるか。求められている答え、それを瞬時に出すことと、その場の雰囲気を軽くする。重くなると良い音楽が出来ないから。あ、後、これは絶対大切と思っていることが「歌と寄り添う」こと。ドラムはそういう楽器だと思っているから。

中:リズム通り叩くっていうのはもちろんやけど、目に見えない「空気」であったり、「寄り添う」であったりそういう「音」ではないことを大切にしてるねんな

若:そう。そうすればその音を聞いてみんな相乗効果によって高め合えるし、笑顔で叩いて良いライブが出来る。すごい情熱的な曲は情熱的に叩いたり、ヴォーカルを一人にしないようにサポートするようにしてる。

中:分かる分かる。「若もドラムで一緒に歌ってる」って思う(笑)

若:そうそう(笑)

中:ドラムに出会ってなかったら何をしてたと思う?

若:何してたんだろうな。それ聞かれた事もあるけど、分からない。本当に見当もつかない。だって俺始めた15歳の当初から情熱も想いも変わってないから。だから今も出来てるかも

中: それすごいな!もう「ちょっと飽きた」とかもないの?

若:ないない。そりゃ「もう今日疲れた!」とか「叩きすぎて手が動かねー」とかはあるよ。あと集中力続かない時はやらない。

中:それはもう生まれ変わったらドラムになってるかもしれんな

若:それはやだなー!叩かれるのは絶対やだな!叩きてーもん!

中:(笑)出た!どS!



(28歳の頃)



トップで活躍するために必要な事



中:色んな経験を経て、今、プロとして活躍してるけど、「トップ」でやるには何が必要?

若:「技術」はもちろん絶対必要。「周りを見る力」と「人間性」、「引き出しの多さ

中:確かに。それはどんな時でも求められるよな。どれだけ上手な技術を持っていても、現場の空気壊す人はいっぱいいるよね。みんなで作り上げていくものなのに

若:そういう人は不向き。その曲の雰囲気を読み取って作らなきゃいけないからさ

中:若にとってドラムとは何?

若:相棒でもあるし、親友、家族、彼女…自分の身体の一分でもあるしね。不思議だよね。一番表現しやすいのは身体の一分かな

中:手の先にスティックついてるみたいな

若:そうそう(笑)

中:ほんまかいな(笑)そんな手の先スティックな若は今までで挫折しそうになったとかある?立ち直れない程のこととか、怪我とか

若:一回28歳くらいの時にライブ中、首をやってしまって。以前は演奏する時の姿勢とか気にせず前のめりで叩いてたから首が動かなくなってしまって。「どうしよう」と思ったけど、「叩かない」って選択肢は無かったから

中:ぎっくり首みたいな?

若:そう。叩き方も姿勢も悪かったから。でもその怪我のおかげで悪いところを直すキッカケをもらって。

中:それはどんな方法?

若:演奏中、横にカメラを置いて動画を取って、姿勢が悪くならないように演奏する自分を見て直した。そうすると首が治ったんだよね。俺にとって必要なことだった。

中:めっちゃ研究熱心よね!なんでそれが勉強にいかんかったんかなあ!(笑)

若:だろ(笑)俺もそれは不思議。まあ好きな事だからだろうね

中:そんな大好きなドラムでプレーヤーとしても、活躍する若やけど、実は先生としてもたくさんの生徒を抱えていると聞きました。「教える」ということに対して気を付けていることってなに?

若:人それぞれ、生活も目標も違うからさ、「プロ」になりたいとか、「この曲を叩きたい」とか、生徒に合わせて指導するかな。見本を見せて、一つずつクリアしていくように指導してる。一つ出来るとみんな嬉しいから。

中:目標に近付くためのサポートやんね。「叩く」一つにしても「強く」とか「優しく」とかだけじゃないと思うねん。「熱く」とか「悲しく」とか

若:それはもちろんそう

中:リズムだけじゃない、そういう感情を込める大切さに気付いたのはいつ?

若:人のサポートするようになってからかな。もともとバンドでやってたから。サポートはかっこつけちゃだめだから。みんなのことも聞かなきゃだめだし、空気感も含めてね

中:いつもサポートしてくれる時は大変助かってます。今は月どれくらいの頻度で出演してるの?

若:もちろん月にもよるけど、多い時で15回くらいかな

中:えええ!半分やん!覚えるの大変そう…



最後に



中:熱いドラム愛の話しをたくさん聞かせてもらったけど、若にとって「プロフェッショナル」「一流」とは?

若:「ちゃんと目標を形に出来る人」これって出来そうで出来ない事なんじゃないかな。

中:例えば、「武道館に立つ!」とか?

若:そうそうそう。昔は大雑把で「ドラムで食っていきたい!」とかだったけど、今は小さな目標もちゃんと言って形にして、有言実行すること。昔の自分と今の自分の違いでもあるかな。

中:これやりたい、あれやりたいって言えるけど、達成に向かう努力とか時間とか、結構覚悟がいるもんな。

若:そう、達成するために追求心と探究心は常に忘れたらいけないよね

中:ライブ前でも、メンバーと談笑せずに本番に向けて準備している若をずっとすごいなって思っていたし、こちらも安心して本番を向かえることが出来るんよね。若の今後の活躍を期待しています。




若山雅弘(わかやままさひろ)

1984年3月8日 横浜市生まれ。A型。

「やなわらばー」「ビッケブランカ」「杏沙子」など幅広いジャンルのサポートとして活躍している。自身のHIP HOPバンド43k&chheapsongsでも活動中。私のバンド1-GATAもサポートして頂いている「ドラムで歌う」マルチプレーヤー。ドラム指導や、モデルとしても活躍される。

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